「普通のジュエリーショップになってしまうよ」

2021-02-15

前回のノートのから、何を書くか考えあぐねたりしていると結構時間が経ってしまいました。
そうこうしているうちに新店舗のオープンは近づいてきています。
9月ごろから始まった内装工事について書きたいことはたくさんあるのですが、拙い文章力で一つ一つの事柄を書いて面白くなる自信もなく時間もかかってしまいそうなので、特に印象的なことを書いていこうと思います。

普通恐怖症


僕がジュエリーをデザインする時に心がけているのは、常識に捉われず出来るだけ見たことのないデザインにしたいということです。今回内装デザインをお願いした関さんも同じタイプだと思いデザインをお願いしたのですが、関さんは僕以上に「普通恐怖症」だと感じました。

 一例を挙げたいと思います。今回の工事で初めに手掛けたことは、関さんとの最初の打ち合わせで決まった全てを撤去する解体工事です。青山の物件は昭和57年に建てたられた一軒家の一階で、築38年とかなり古いのですが、借りた時はリノベーションしたばかりの綺麗な内装でした。ただそのままでは普通の家のようなので、まずは床を取り、そして壁を壊し、大きい窓を撤去しました。床の下は、図面上はコンクリートのはずでしたが、開けてびっくり、土でした。しかもストーンヘンジみたいなブロック付き。
そこで、解体後にコンクリートを流す工事から始まりました。打設です。(今回の工事で知った建築言葉) ここで先ほどの関さんの「普通恐怖症」が現れます。

コンクリートのレッドカーペット


玄関の階段のタイルも全て剥がしたので、その後は普通にコンクリートで綺麗に覆うものかと思っていたら、関さんは「そんなん普通やん」と。結果的に剥がした跡を残した上で、店内に流したコンクリートからそのまま伸びたような一本のコンクリートの塊を出現させました。文章ではうまく説明できないので写真を見てください。
ご覧の通り、まるで一本のコンクリートのレッドカーペットが店内から伸びてるようです。
もう一つ関さんのファンキーなアイデアを。
最初の段階でいくつか関さんに店内の内装プランを提案してもらいました。その中から関さん一推しのプラン、店内を二つの部屋に分ける提案に決まりました。最初は、そこまで広くない店内を贅沢に分けることに少し戸惑いましたが、より面白い方がいいということで決定。出来上がったものを実際に見てみると、分けたことにより空間を優雅にしていることが分かりました。
この区切られた小部屋の天井から、ガラスのスライドドアがぶら下がって設置されてます。遠目に見ると静かに滴る滝のよう。
さらに、このスライドドアの取っ手にも仕掛けが。これも言葉で説明するのは僕の文章力では難しいので写真を参照してください。
通常、ガラスのスライドドアには金属やガラスのバーが付くのですが、もちろん関さんはそんな当たり前のものを付けません。代わりに、床下収納などで使われている回転取手を取り付けました。取手が回転して出入りする様子をガラス越しに見えます。

こういった、通常通りの使い方に留まらない発想は、どこか僕がジュエリーをデザインする時の感覚に近い気がします。
その他にも、関さんの口癖「そんなんだと普通のジュエリーショップになってしまうよ」とともに出てくる斬新なアイデアがたくさん。ちなみに、現在発売中のマガジンハウス「POPEYE」に関さん特集が掲載していますので、こちらもぜひ。斬新かつ使いたくなるDIYの技を惜しげもなく公開してます。
次回は、僕が大きく関わった店内家具の話を書いていきます。